土壌には、多種多様な微生物、原生生物、動物などが棲息し、独自の土壌生態系を形成しています。土壌生物は、植物と相互作用を持ち、農業や環境科学とも密接に関連していますが、土壌生物全体を詳細に分析できる手法がなかったために、土壌生態系の実態はよくわかっていませんでした。わたしたちは、遺伝子の塩基配列を生物種識別のためのバーコードとして、生物集団全体を分析できる「DNAメタバーコード法」を確立し、土壌生物の分析を行っています。この手法により、土壌生物を網羅的かつ高精度に分析することで、土壌の生物多様性や生物変動を詳細に明らかにできます。これまでに、異なる環境に生息する土壌線虫集団の分析や、田原市の輪作農地での土壌生物の変動解析などを行ってきました。現在、大学圃場などで、植物と土壌生物の関係に焦点を当てた研究を進めており、研究成果の一部は、東三河生態系ネットワークフォーラムでも報告しています。
わたしたちは、地元高校生の生物系部活動を支援する活動を、2016年度より行っています。これまでに愛知県立豊丘高校、豊橋東高校、国府高校と、夏休み期間中に、それぞれの研究テーマに沿った1〜2日間の実験を大学の研究室で実施しています。この活動は、各高校の生物系の部活動に関連したテーマを設定し、大学の装置や設備を用いた実験と、関連する研究の講義を行うことで、高校生の研究活動を支援することを目的としています。たとえば、豊丘高校の自然科学部と一緒に、東三河地域の干潟における貝類の分類や、豊橋市向山大池における外来魚の検出など、生態系や環境保全に関わるテーマで実験を行っており、その成果は、参加した高校生により、東三河生態系ネットワークフォーラム等の場で公表されています。
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